発熱ユニットボイラーは、動作熱が高い固体酸化物形燃料電池(800〜1000℃)と固体酸化物形電解セル(600〜800℃)を組み合わせ同時に動作させ、700℃の熱を発生させる発熱ユニット(特許第5829325号「発熱ユニット及び給湯システム」) の熱を使ったボイラーです。
工場では、化石燃料を使ったボイラーおよび電気ボイラーを、発熱ユニットボイラーに取り換えて使用することにより水素ガスまたは電気の消費量を抑えることができます。
発熱ユニットの製品化はされていませんが、マグネクス株式会社で製造している固体酸化物形燃料電池と固体酸化物形電解セルを使用して作ることができます。
発熱ユニットの動作原理は、次のビデオのとおりです。
発熱ユニットは、ビデオのとおり固体酸化物形燃料電池と固体酸化物形電解セルのそれぞれの水素が通る管、酸素が通る管をつなぎ一体化したものです。
発熱ユニットは、固体酸化物形電解セルが電気分解で水から水素と酸素を作り、この水素と酸素を使って固体酸化物形燃料電池が水と電気を作る。この繰り返しにより、それぞれが700℃の高い動作熱を発生し続けます。
発熱ユニットが、高い動作熱を発生し続けるために、固体酸化物形燃料電池が定格出力を発電できる水素と酸素の量になるよう、固体酸化物形電解セルの電気分解に供給する電力は、固体酸化物形燃料電池の発電した電力に、外部電源の電力を加えて供給します。
発熱ユニットの停止は、固体酸化物形電解セルの供給電力の停止で行います。
電気ボイラー10kWと同じ能力を持った発熱ユニットボイラーは、マグネクス株式会社のG20(外形寸法 縦150mm×横150mm×高さ135mm) 仕様の固体酸化物形電解セル(セル20枚)、固体酸化物形燃料電池(セル20枚)を使って作ることができます。
この発熱ユニットが発生する熱量は、固体酸化物形燃料電池と固体酸化物形電解セルの大きさが縦11cm、横11cmで、電解質が、厚さ30μm、比熱0.47kJ/(kg・K)、かさ比重6.0 g/cm3のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とした場合、40セルが作る熱量は次の計算で28,640Jとなります。
11㎝×11㎝×0.003㎝×0.47(比熱)×6(比重)×700℃≒716J
716J×40セル=28,640J
発熱ユニットボイラーは、起動時に動作温度になるまで数十分の10kWの電気ヒーターでの過熱が必要ですが、動作温度になり動作開始後は、固体酸化物形燃料電池が725Wを発電、固体酸化物形電解セルが2.623kWで電気分解することから、外部から約2kWの電気の供給で運転を継続することができます。
10kWの電気ボイラーは、稼働中は10kWの消費電力が必要で、これに比べ発熱ユニットボイラーは、8kW削減の省エネ運転をすることができます。
「引用」著作物掲載URL
「マグネクス株式会社SOFC/SOECスタック」
https://www.magnex.co.jp/stack.html