発熱ユニット発電給湯システムは、動作熱が高い固体酸化物形燃料電池(800〜1000℃)と固体酸化物形電解セル(600〜800℃)を組み合わせ同時に動作させ、700℃の熱を発生させる発熱ユニット(特許第5829325号「発熱ユニット及び給湯システム」) の熱により熱電発電モジュールが1kWを発電し、同時に給湯タンクを加熱してお湯を作るシステムです。
起動時に発熱ユニットを動作温度まで加熱するために1.4kWの電力を数時間程度消費しますが、起動後は外部からのエネルギーが一切不要で発電とお湯を作り続けます。
発熱ユニット発電給湯システムを一般家庭、事業所に設置し発電、給湯、暖房に利用します。また、発熱ユニットは産業、工業プロセスの熱が必要なところに組み込んで利用し水素ガス、電気の消費を抑えます。
一般家庭での一日の消費電力は、IHヒーターを利用する世帯でも10kWh程度のため発熱ユニット発電給湯システムは一日で24kWhの電気を発電するため、残りの14kWhは電気自動車の充電または電力ネットワークへの売電に利用します。
発熱ユニット発電給湯システムを日本の全世帯で利用することにより、年間電力量4,547億kWh発電することになります。日本の自動車、鉄道、地下鉄、航空、船舶が排出する二酸化炭素を削減のため必要な電力量が年間約4,021億kWh必要となり、これを超える発電量となります。
発熱ユニット発電給湯システムは、主な部品として①発熱ユニット、②熱電発電モジュール、③給湯タンク、④制御装置、⑤動作表示器、⑥給水装置、⑦蒸発器、⑧起動用ヒーターがあります。
これらの詳細は以下のとおりです。
発熱ユニットの製品化はされていませんが、マグネクス株式会社で製造しているG20(外形寸法 縦150mm×横150mm×高さ135mm)の固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体酸化物形電解セル(SOEC) を使用して作ることができます。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)と固体酸化物形電解セル(SOEC) のそれぞれの水素が通る管、酸素が通る管をつなぎ一体化したものが発熱ユニットです。
発熱ユニットの動作原理は、次のビデオのとおりです。
G20の仕様が、セルの大きさ縦11cm、横11cm、電解質の厚さ3μmで電解質のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の比熱0.47kJ/(kg・K)、かさ比重6.0 g/cm3のため、SOFC 20セル、SOEC 20セル合わせて40セルが作る熱量は次の計算で25,480Jとなります。
11㎝×11㎝×0.0003㎝×0.47(比熱)×6(比重)×700℃×4.184≒637J
※4.184;calからJへ変換(1cal=4.184J)
637J×40セル=25,480J
他の固体酸化物形燃料電池(SOFC)発電の例では発生する熱の3割程度を改質などに利用しています。この例から25,480J の3割の7,644Jの熱が利用できることになります。
熱電発電モジュールは、ヤマハ株式会社製のYGPX024(外形寸法 縦103mm×横143mm×高さ2.1mm)を8個利用します。
熱電発電モジュールは、温度差が385℃で143Wの発電する能力があり、高温側は発熱ユニット側面、低温側は冷却水用熱交換器の間で温度差385℃が保つ位置に自動設定されます。これを8個使うため1,143Wの発電となります。
発熱ユニットの固体酸化物形燃料電池(SOFC)発電、固体酸化物形電解セル(SOEC)電気分解のロス分19%の補充電力が138W必要で、これに該当する分を消費のため、残りの約1kWが屋内の電化製品の消費電力として利用できます。
給湯タンクは、容量150ℓで、熱電発電モジュールの温度差を保つための冷却水用熱交換器の水が流れる管でタンク内の水を温水にします。
制御装置は、起動時の起動用ヒーターの加熱、起動後の起動用ヒーターの加熱停止と熱電発電モジュールへの交換制御、固体酸化物形燃料電池(SOFC) の発電状況、固体酸化物形電解セル(SOEC)の電解状況を管理し、発熱ユニットの正常動作を維持する制御を行います。また、給水装置の水供給も制御します。
停止時の電気供給停止の制御と熱電発電モジュールから起動用ヒーターへの交換制御を行います。
動作表示器は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体酸化物形電解セル(SOEC)、起動用ヒーター、給水装置の動作状況を表示します。
給水装置は、発熱ユニット起動時及び稼働時に、固体酸化物形電解セル(SOEC)に水蒸気を供給するため、水を蒸発器に送る装置で水の供給は制御装置の自動制御により行われます。
蒸発器は、水を蒸発するための装置で、作られた水蒸気は発熱ユニットの水素を通す管に送られます。
起動用ヒーターは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体酸化物形電解セル(SOEC)の動作温度の700℃程度まで発熱ユニット全体を加熱するために使います。容量は1.4kWで加熱に数時間程度かかります。発熱ユニットが動作開始後は停止します。
「マグネクス株式会社SOFC/SOECスタック」
https://www.magnex.co.jp/stack.html
「ヤマハ株式会社YGPX024」
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2021/21030401/